KOTOWARI 会津サマースクール 2022
Day 2: What are we?
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私たちが環境問題を考えるにあたって「当たり前」とされている社会的な価値観は、どこからどのように生まれてきたのかを経済哲学や自然科学の視点から探究していきました。哲学者の荒谷大輔氏、昆虫学者の瀬戸昌宜氏による学問的な講義やディスカッションを通して、参加者はより広く多様な視点から、環境問題を引き起こしている経済構造、科学的権威主義はどのように作りだされ、どのような特性をもつのかを考えていきました。
Seminar: Daisuke Araya
現代の環境問題のジレンマに、経済活動の自由と、規制などを通した環境保全の両立があげられます。このような議論が大前提となる価値観や経済的な仕組みは、どのように生み出され、私たちの生活に浸透していったのでしょうか?
環境問題をはじめとする様々な社会問題を生み出した「市場原理」とはどのようなものなのか。共感と快楽を前提条件とする資本主義の倫理観や価値観、そこから生み出される「正しさ」や経済の仕組みとはどのようなものであり、なぜそれを変えることが難しいのか。資本主義の背景にある思想的枠組みを問い、私たちにとっての「当たり前」を新たな視点から捉え直すためには、どのような視点が重要となるのか。経済哲学の専門家である荒谷大輔さんを迎えて、身近な事例を交えて語ってもらいました。
Discussion Two:「理想」の社会を議論する
環境問題を考えるとき、どうしても私たちは問題そのもの、つまり現実と過去に基づいた議論のみに終始してしまいがちです。一方で、そうした問題がそもそも存在しない社会とは、一体どのような形を成しうるのか。資本主義の「倫理」の外側にある、自分たちの目指したい社会像を想像し、そこに「環境」という視点も交えた上で形にしていきました。
理想の社会は、どのような価値観に基づく必要があるのか。また、環境問題のような問題が存在し得ない社会というものを想像するときに、私たちはそもそもの自然環境というものを十分に熟知しきれているのか。こうした問いを抱えながら、各グループにて独自の社会像が考えられました。
〈参加者の声〉
考えさせられたことは、何か問題を解決して理想の社会を創りたいのであれば、「その理想の社会はどのようなものなのか」を説明できるようにならなければいけないということ。それが説明できるようにならないと、「解決」は本来手段であるはずなのに目的になってしまうのだ。今までの自分は、「不平等、貧困、ジェンダー問題といったあらゆる社会問題に複雑に関係しているといえる環境問題を解決したい」ということを考えていたし、このサマースクールに参加する前の面談でもこの思いを伝えた。自分にとって「環境問題を解決する」は、目的になってしまっていたことに気づかされると同時に、理想の社会とは何なのかについて考えることをいつからか辞めてしまっていたことに気づいた。別に理想の社会が何なのかを説明できなくても良いと自分の中で正当化してしまっていたように思う。自分が理想とする社会は何なのだろう?